第1弾の展覧会「ヘラルボニー/ゼロからはじまる」では、ヘラルボニーの代表である双子の兄弟、松田崇弥・文登の原体験を追憶しながら、知的障害のある兄の存在、異彩のアートとの出会い、アートネクタイのプロデュースを皮切りにファッションブランド〈HERALBONY〉を立ち上げるに至るまでの初期衝動に焦点を当てました。
ヘラルボニーの設立から3年。ブランド〈HERALBONY〉は、異彩を染める対象を「人」から「空間」へと拡張し、ライフス
タイルを包括します。個々の内面と密接に関わる「生活」の光景の一部となり、暮らしの中に当たりまえに存在することで「障
害」というイメージを人々の文化・生活様式から変えることに挑戦します。本展覧会では、未だ見ぬ新しいものづくり→生活
様式→景色→世界へと繋がる可能性を秘めたライフスタイルブランドのアイテムと、それにまつわる人々の思いをギャラリー
空間に放出し、鮮やかに彩ります。
私たちは、すぐそばにある命の存在を身近に感知することのできない社会構造の中で生活を営んでいます。彼等と私たちの間
には距離があり、壁があり、時にはその隔たりすら自覚できずにいることもあります。本展覧会では、異彩の作品やそのアー
トで彩られたプロダクトの鑑賞体験を通じて、そこにある存在、新たな生活の豊かさ、ありのままで生きることについて、様々
な思いが巡るきっかけとなれば幸いです。