本展では、画家でイラストレーターの黒田征太郎氏のアクリル作品に加えて、黒田征太郎氏の弟で白磁作家の黒田泰蔵(1946年-2021年)の白磁作品を描いた絵や水彩画を展示します。
黒田征太郎氏の画風は、自由な線と色彩で描かれた生命力が特徴です。アトリエ、街中、旅先など場所を選ばず、クレヨン、鉛筆、ペン、水彩、油彩、木彫、エッチングなどさまざまな技法を用いて描く作品は30万点以上に上ります。アクリル作品は、黒田征太郎氏が、インテリアデザイナー倉俣史朗のアクリル製の名作椅子「ミス・ブランチ」に触発され、「アクリルという額の中に絵を入れたい」と思い立ったものです。アクリル樹脂で自身の絵や、木彫など多彩な作品を固めたオブジェの制作を2016年より始め、新境地を開きました。堅牢で透明なアクリルは光を閉じ込めるいわば透明な水の器です。
黒田泰蔵も生前アクリルの美しさに魅せられ、いつか兄とコラボレーションすることを願っていましたが、願い叶わずに2021年に逝去しました。黒田征太郎氏は弟の没後、残された白磁作品を来る日も来る日も描き続けました。そうして描かれた作品を「悲の器」と名づけ、「水と光」の象徴であるアクリル作品と並べることで、本展はまたとない兄弟のコラボレーションとなりました。
BAGでは2023年に黒田泰蔵の白磁と背後にある暮らしに焦点を当てた企画展「白の中のカラフル 黒田泰蔵の暮らし」を開催しており、関連した企画展は2回目となります。