Brillia Art

Brillia x ART 対談解体前のマンション1棟全体をアート空間に

東京建物が保有する解体予定の
10階建て賃貸マンション
「セゾン代官山」(東京都渋谷区)の
1棟全体をアート空間として活用するアートイベント
「アートゴールデン街 by NoxGallery ×
Superchief × Brillia」を
2025年1月9日から1月28日まで開催しました。
同イベントについて、キュレーションを担当された
NoxGallery代表の藤井唯勝氏、
本イベント内で「ART × SHORT FILMギャラリー」を
展開した
株式会社ビジュアルボイスの代表で
俳優としても活躍されている別所哲也氏、
東京建物の鹿島康弘、大髙菜未が同会場で
語り合いました。

代官山にアートゴールデン街、登場

国内外から70名近いトップアーティストたちが集結

NoxGallery代表
藤井 唯勝 様

鹿島 私たちはBrilliaのブランド活動の一環としてアーティストに活躍の場を提供する形でのアート活動支援を続けてきました。今回のイベントもその一つで、2023年秋から当社保有の賃貸マンション「セゾン代官山」の1階部分をデジタルアートギャラリーのNOXGalleryさんにお使いいただいたことがきっかけでした。

藤井 2023年の秋にこちらのビルの1階をお借りして、デジタルアートに特化した日本初のNFTギャラリー「NoxGallery」をスタートしました。

鹿島 その当時から事業上の理由で近々にビルを解体することは決まっていましたが、明確な時期は未定で。その後、2025年2月に解体することが決まった頃に、藤井さんから「1棟全部を使ってアートイベントができないか」というご相談をいただきました。1棟を使ってイベントを行うのは当社として初の試みでしたが、社内で検討した結果、「挑戦してみよう」ということになりました。

藤井 解体前のビルを使ってアートイベントを開催するという事例はすでにあったので、僕たちも手掛けてみたいなと思っていました。せっかくの機会なので、デジタルアートだけでなく、あらゆるアート、音楽、映像、ファッション、AIなど、いろいろなものをミックスしたイベントにしたいと思い、交流のあるニューヨークの「Superchief Gallery」に相談を持ちかけました。ちなみに「Superchief Gallery」は世界初のNFTギャラリーです。そこのファウンダーのEdward Zipcoに話したところ、すごく興味を示してくれて、僕とEDの2人で参加してほしいアーティストをリストアップして声を掛けていきました。その結果、国内外からさまざまなジャンルのトップレベルのアーティストが70名近く集まってくれました。

別所 僕らは国内外の短篇映画、いわゆるショートフィルムの配給やイベントの運営を行っているのですが、2008年から2018年まで東京建物さんと一緒に横浜のみなとみらいで「ブリリア ショートショートシアター」というショートフィルム専門のブティックシアターを運営していました。現在はオンラインでショートフィルムを配信するスタイルになりましたが、そちらも東京建物さんと一緒にやっていて、その縁で今回のイベントに呼んでいただきました。

株式会社 ビジュアルボイス
代表取締役社長 別所 哲也 様
東京建物株式会社
住宅事業企画部マーケティンググループ
グループリーダー 鹿島 康弘

大髙 ビジュアルボイスさんとは長いお付き合いの中で、 また一緒にイベントを開催できたらと思い、今回お声がけさせていただきました。

別所 嬉しかったですね。即答で「ぜひ参加させてください!」と。マンション2階の広い空間を「好きに使って良いですよ」と言われたので、スタッフみんなで何をしようか考えました。もちろんショートフィルムを上映するわけですけど、今回はストーリー性のある作品よりも映像でコミュニケーションできるような作品を選び、森村泰昌さんや束芋さんなど世界的に活躍されているアーティスト12名の映像作品を持ってきました。また、単なる映画館にするだけではつまらないので、神谷佳美さんという渦を描くアーティストに部屋全体をペイントしてもらい、その制作過程も撮影してドキュメンタリー作品として上映しています。

藤井 ビジュアルボイスさんの部屋を見た時、「すごいなぁ」と思いましたね。この広い空間すべてをペイントしてアートで埋め尽くしていて、びっくりしました。

鹿島 ビジュアルボイスさんにお願いすれば、ショートフィルムを使った素敵な空間に仕上げていただけるだろうとは思っていましたが、想像以上でした。壁や天井だけでなくドアもエアコンも配電盤も隅々までペイントされていて、まさに解体予定の建物だからこそできる自由な空間だなと感じました。

大髙 「アートゴールデン街」という名前もインパクトがあって面白いです。

藤井 3階以上の住居スペースは各部屋に1組ずつアーティストを割り当てて、部屋を自由に作品で彩ってもらうようにしました。その様子が、個性的な小さいお店が建ち並ぶ新宿のゴールデン街のように感じて名付けました。最初はダサいかなとも思ったのですが(笑)、日本にも詳しいSuperchief のEdwardが「めちゃくちゃクールだよ」と言ってくれて。

東京建物株式会社 
住宅事業企画部マーケティンググループ
主任 大髙 菜未

多ジャンル、多国籍が混在する空間

解体に向けて作品が成長していく刹那的な魅力

鹿島 開催に辿り着くまでは大変でしたね。

藤井 ホント大変でした(笑)。昨年9月頃からアメリカからもスタッフが来日して準備を始めましたが、年内いっぱいはまだこちらにお住まいの方々がおられるので、なかなか本格的な工事が始められない。結局、年末年始の限られた期間で一気に準備を進めざるを得ず、そのマネジメントがいちばん大変でした。しかも、年末年始だから人手が足りない。今回、マンション共用部のアートは、ハリウッド映画で背景美術を担当しているシーニックアーティストのAmanda Hagyにプロデュースをお願いしたのですが、ハリウッドでは超メジャーな彼女が自分の足で歩き回って、近所の飲み屋さんのマスターとか、長野のイベントで知り合った大工さんとかをスカウトしてきて工事を手伝ってもらったり・・・。一時は実現できないんじゃないかとさえ思いましたが、いろいろな奇跡が重なって、なんとか開催することができました。東京建物さんにはたくさんご迷惑をお掛けしました。

鹿島 記者発表の前日に状況を見に来ましたけど、その時点で20%くらいしか完成していなくて(笑)。もう走りながら考えていくしかないなと思いました。

別所 でも、結果的に面白いものになったんじゃないでしょうか。会期中、何度か足を運びましたが、来るたびに作品が成長していく。その変化を楽しむというのも醍醐味のひとつのように思いました。リピーターのお客さまも増えましたしね。わずか20日間の会期でビル自体もなくなってしまうのに、作品は進化していく。人の記憶にだけ残る、刹那的な魅力がありました。

藤井 人生と一緒ですね。人もどうせ死ぬことはわかっているのに、前向きにいろんなことにチャレンジして成長していく。

別所 哲学的なカッコいいこと言いますね(笑)。ユニットひとつひとつは小さいけれど、アーティストたちが寄り添って集合体になっているのが面白いですよね。しかも、お客さまもアーティストも多国籍でいろいろな言語が聞こえてくる。いろいろなものが混在している感じが今の地球そのものが表現されているようで、すごい空間ができたなと思いました。

アーティストたちに「場」を提供

解体前の建物だからこそ自由な作品づくりが可能に

大髙 大変なことはたくさんありましたけど、ご一緒させていただいて、楽しんで仕事をする大切さや、日々イベント内容を更新していくことの大切さを目の当たりにできて、貴重で楽しい経験ができました。

藤井 そう言っていただけると本当にうれしいです。来場者の皆さんの評判も良いですし、何より参加したアーティストたちが自由に作品をつくれる場を与えてもらえて本当に喜んでいました。

別所 こういう場をいただけるのは本当にありがたいんですよね。場がなければ何もできないし、人も集められない。今回は代官山という人が集まりやすいところに場をつくっていただき、感謝しています。

鹿島 アートゴールデン街はこれまで我々が取り組んできたアート活動とはトーンがずいぶん異なり前例がない取り組みだったので期待と不安が半々でしたが、蓋を開けてみると、ひとつひとつの作品のクオリティがとても高いですし、地域の活性化といった社会貢献的な側面もあり、とても意味のあるイベントになったと思います。見学に訪れた当社の役員の評価も高く「また解体予定のビルが発生したら考えようか」と言ってもらえました。

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