ARTIST VOICE
Q:応募のきっかけは?
A:都心で展示ができる機会を公募で提供しているのはまれでしたので、以前より注目していました。また、展示場所が人の往来するショーウィンドウ的な角地であり、街の風景に溶け込む場所であることも魅力に感じた一つです。
Q:どうやって企画を考えたのですか?
A:作品を作る際は、その場所ごとにサイトスペシフィックなアプローチで、まずは制作の手法から考えます。今回は、ビルが立ち並びこれからも発展していくであろうこの街の一角に存在するものとしての作品価値を考えるところから、つまりは、都市的なマクロ視点からスタートしました。
Q:作品に込めた想いを教えてください。
A:今や都会の中では自由に露出した土に出会い難くなっています。この作品に現れた土の持つ美しさや表情を通して、今立っている足元には幾多の土の層、すなわち歴史が横たわっているのだ、ということを想起してもらえたら幸いです。それはきっと、誰しもがそれぞれに持つ、土への感覚の記憶を呼び起こすことにも結びつくのではないでしょうか。
Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
A:この作品には、実際に東京の工事ででた数種類の残土を使用しています。材料として精製されていない荒々しいマテリアルと向かい合い、展示場所で足下の地層に想いを馳せながら、ひたすらに製作できた日々は幸せでした。ガラスケースの標本箱の中にあるようなこの塊が、実は形状に収まらない土の魅力とエネルギーを発している様をぜひご覧ください。
最後に、今回の作品制作に携わってくださった、たくさんの方々に感謝いたします。