自然がもたらすダイナミックな移動と、人間が作り出したもう自然には戻れない物質のもう一度の再会を表すこの作品は、山の間に溜まってできた湖の形(逆さまの山の形)とそこに並々と称えられる水を想起させ、静かな世界に連れていってくれます。もう少し説明を廃し、ダイナミックな形に集中できたらさらに素晴らしいものになっていくと思いました。
自然物と人工物の間に位置し、心地よい意志を感じた。 潭という漢字を画像検索にかけてみた。そこには美しい水の光景が並ぶ。成程、内陸の潭の水底には様々な時間や過程を経て辿り着いた石や礫が堆積しているのであろう。人々も石のように移動していると韓氏は書く。 その移動を認知する眼は大多数のベクトルと少し距離を置いた場所に在るのであろう。水面と石を同時に視るような、多くの人々が見過ごしてゆく物語を記述してゆく行為は尊い。韓氏独自の世界観を突き詰めていって欲しい。 この作品制作を通し、また新たな循環の物語が続きますように。
アートとデザインの違いには大きくわけて、合理性と行為という捉え方がある。どちらも作品と呼べるものであるが、そのプロセスには異なる始点と終点があり、この作品は、潭という現象を自然と人生に例えて、人々の営みの場所と再生を繰り返す輪廻のような巡回社会を表現している。その制作過程は、自らの行為を通して制作されたものであり、作品の随所に作者の痕跡を活かし、理論だけではなく身体の行為を交えて造形化されたことで、鑑賞する私たちも韓の世界を実体験できる。