Brillia Art
Brillia Art Award

ARCHIVEこれまでの作品

No.20 
Brillia Art Award 2023作品・アーティスト紹介

TITLE:
I’m here
CONCEPT:
日常の中にふいに現れる、不思議な空間。
四角いアスファルトが敷かれた外の環境とは対照的に、
明るく柔らかな空間がガラス一枚を隔てて存在します。
触れそうで触れることのできない空間は、
生き物のような柔らかいオブジェクトでいっぱいです。
その密度の高い空間に生まれる柔らかな隙間。
そこに身を置きたい、手を触れたい...。
鑑賞者がおのずと作品の中に自分の姿をイメージしてしまう。
ユーモラスと共に、鑑賞者の感覚に働きかけ、それぞれが自己の内面に触れ、
穏やかな気持ちになるような作品を目指しています。

ARTIST PROFILE

松永 有美子/ YUMIKO MATSUNAGA
2000年
明星大学日本文化学部生活芸術学科卒業
2001年
明星大学造形芸術学科研究課程修了
真綿のビジュアルアート展 / 準会長賞 /
スカイドア アートプレイス青山(東京)
2015年
Burg Giebichenstein Halle芸術大学 彫刻/メタル科卒業
Diplom取得(ドイツ)
2017年
個展 ANFASSEN / Galerie Burg2(ドイツ)
2018年
Burg Giebichenstein Halle芸術大学 アートジュエリー科
Aufbaustudium修了(ドイツ)
2019年
SCHMUCK 2019 / 入選(ドイツ)
2022年
ザクセンアンハルト州立芸術財団
Kloster Bergesche Stiftung 美術助成(ドイツ)
個展 True Colors / Jewelers’Werk Galerie(アメリカ)
他、国内外でグループ展など多数。

ARTIST VOICE

Q:応募のきっかけは?
人と作品との距離を近づけること、アートが身近に感じられる存在である為にはどうすべきか。それは、私の制作活動において大切にしている点です。多くの人々が行き来する場所で、日常の生活の中に介入できる展示スペースを日本で探していたところ、Brillia Art Award を公募サイトで知りました。また、民間の企業が支援するArt Awardということで、今までとは違った新たな可能性に出会えるのではないかという期待を抱き、応募しました。

Q:どうやって企画を考えたのですか?
アートに興味のある人もない人も、老若男女あらゆる背景を持つ人々が、作品を介して繋がっていく。そんな時間と空間を共有できればと思い、企画しました。その為には、日常の中に現れ、行き交う人々の目に留まること。共通言語でもある感覚に働きかける素材でオブジェクトを構成することが必要でした。また、展示スペースの周辺の環境、行き交う人々、音、気温など、様々なものが作品を構成するマテリアルとなる為、ギャラリーの周辺に数時間滞在し、そこで私自身が肌で感じたものを取り入れて、最終的なかたちへと作り上げました。

Q:作品に込めた想いを教えてください。
I’m hereというタイトルには、「ここにいるよ」ということだけでなく、「あなたの側にいます」という意味も込めました。情報に溢れた現代社会では、感度を落とさないと生きづらい時もある。それでも、五感を通して何かを無条件に感じること、楽しむこと、それは全ての人の中に存在しているのだと。様々な言語や文化、環境や背景を持って暮らす人々が共有し、繋がることができる。通りすがりの人が、ふっと笑顔になってしまうようなユーモラスな空間を作ることを目指しました。

Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
実はこのBrillia Art Awardに関わるまで、八重洲はスーツ姿の人が多いビジネス街というイメージでした。しかし実際は、様々な目的を持った人々で溢れていました。大人だけでなく小さな子どももいましたし、近隣にホテルがあることから海外の人々も多く見かけるなど、制作意欲が掻き立てられる魅力的な場所でした。作品の設置中も様々な人がガラス越しにのぞいてくれ、興味を持ってくださっていることが感じられました。多くの人々にご協力をいただきました感謝の念と共に、アートは人々と関わり、作られるものだと再認識することができました。今後の課題、目標も含め、次への制作活動に繋がるエネルギーをもらうことのできた素晴らしい機会となりました。ありがとうございました。

EVALUATION

小山 登美夫
(小山登美夫ギャラリー代表)

松永さんの作品は、街中ではっと目を引くほど目立っていました。カラフルなその色合いに引き寄せられると、そこには温かい触感の布に覆われたいくつもの植物の種子が芽吹いたというか、ひょっこり目をだした生物のようなものがひしめき合い生きていて、その感じが、頼もしくもあり、楽しそうでもあり、、元気が出てくる光景でした。美術でダイレクトに人に伝わってくることの大事さを確認しました。

野老 朝雄
(美術家)

情報に溢れた現代社会では、感度を落とさないと生きづらい時もある。/松永 有美子(ARTIST VOICE より)ここでは [ 感度を落とす ] という表現が選ばれて記述されているが、我々は老化と共に自己防衛の手段としてその方法を得ていくのかもしれない。もしくは幼少時の [ 感度 ] はもっと素敵なものであったのではないか。あたかも自分が、例えばカラフルなおもちゃの世界のような別次元の中に入っていけるのではないか、とも思わせられる不思議な感覚。特に子供達の目線の高さに於いて、しばらくの間我々はこの作品の前で少し優しい気持ちを思い出すことが出来るのかもしれない。膨大な情報を処理しきれない疲れた大人達にも当作品はそのような事を想起させる力を持っていると思った。

坂本 浩章
(公益財団法人彫刻の森芸術文化財団 東京事業部 部長)

展示スペースを埋め尽くすかのように、種子や妖精を思わせる異なったサイズのオブジェが、幾何学形態の街の中に軽やかな動きを与えている。難解ではない形と色だからこそ見るものが感情移入しやすく、作品を通じて年齢や性別を問わず対話が生まれてくるようだ。まさに、作者が意図した「人と作品とのコミュケーション」によって、さまざまな境界線が取り払う空間を実現している。

PAGE TOP