Brillia Art
Brillia Art Award

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No.21 
Brillia Art Award Cube 2024作品・アーティスト紹介

TITLE:
MANUAL FOCUS
CONCEPT:
“焦点”をテーマにしたガラス作品「MANUAL FOCUS」と題した作品を展示します。 色鮮やかな植物を、加工が施されたモザイクガラスで覆うことで、
中の対象は見る角度によって変化し、焦点を曖昧にさせます。

テクノロジーが発展し続ける現代において、失われつつある " マニュアルフォーカス "。

まるでデジタルにおけるエラー状態にも見える本作品は、
不確かでありながらも美しく、物事を捉える本質を鑑賞者へ問いかけます。

ARTIST PROFILE

及川 春菜/ HARUNA OIKAWA
<略歴>
1993年
宮城県生まれ
2018年
東京藝術大学美術学部工芸科卒業
2020年
同大学院美術研究科工芸專攻修了
<活動歴>
2018年
「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭 2018」出展(新潟県)
2018年
「第12 回ガラス教育機関合同作品展 - GEN -」 出展(東京都美術館)
2022年
「KINDA MOOD RIGHT NOW」出展(YOD Tokyo)
2022年
「BRULLY IDEAL」個展(FBI Gallery)
2023年
「Featured Projects」出展(KOKUYO本社)
2023年
「34+」コレクション展(between the arts gallery)
2023年
「境界-border-」出展(藝大アートプラザ)
2023年
「Landscape」二人展(SPIRAL)
2023年
「Roundabout」出展(長野県)
2024年
「ブレイク前夜展」出展(Artglorieux)
2024年
「D-art,ART」出展(大丸福岡天神店)

ARTIST VOICE

Q:応募のきっかけは?
今年はコンペに積極的に応募することを目標にしており、数多くある公募サイトの中から見つけたのがBrillia Art Awardでした。
ショーウィンドウで作品を展示をすることが夢のひとつだった事と、審査員の方々に魅力を感じ応募させていただきました。

Q:どうやって企画を考えたのですか?
代表作であるモザイクガラスのアート作品「MANUAL FOCUS」を展示したく企画を考えました。
大型の立体作品を3点並べ、それぞれ色味の違う作品を作りました。 花々は涼やかでみずみずしい色合いになるよう配置しました。 造花なので、自生地では出会うことのないような花同士を合わせたりしています。 展示シーズンの夏に似合う爽やかな色合いの中に深い色味の花々や草木が入り混じっています。

Q:作品に込めた想いを教えてください。
この作品は、「焦点」をテーマにした作品です。
わたしは、世の中に溢れる情報やニュースなど、あらかじめ「オートフォーカス」されたものを見るのではなく、多方面から実態を把握して自ら焦点を合わせていく「マニュアルフォーカス」な視点が必要であると感じています。
透明なモザイクガラスは、物事を把握するときにかかる、人それぞれのフィルターを表しています。 フィルターというのは、鑑賞者が歩んできた人生によって感じ方も考え方も違う、目には見えないものです。
本作品では花をモチーフとしておりますが、花は美しさの象徴です。モザイクのフィルターを通して花を観た時、表面的な情報だけで鑑賞者は美しいと捉えてしまいます。よく観ようとしても、視覚からは表面的な情報しか得られず、それが生花なのか造花なのか判断することができません。本質的な美しさとは何かということを鑑賞者に問いかける作品になっています。

Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
当初は大型作品1点を吊り下げて空中に浮かせる作品を構想しておりましたが、安全面を踏まえ3点の台置きという構成に変更しました。 結果、それぞれの色味に差が出せたことで作品に奥行きが生まれました。展示時期が夏ということもあり、より夏らしい爽やかな雰囲気が表現できたと思います。

EVALUATION

小山 登美夫
(小山登美夫ギャラリー代表 / 日本現代美術商協会代表理事)

及川さんの作品は、モザイクのガラスで覆われた造花です。格子状のモザイクの奥から花が見え隠れする。モザイクを通すことによって見える世界が違ってくる。そのアプローチが通りすぎる人を時折、ハッとさせ「見る」という行為を自覚させています。全体と部分、見えるものと見えないもの。そこに思いを馳せることにこの作品の魅力があるように思います。

橋本 和幸
(東京藝術大学美術学部デザイン科教授)

ガラスの箱の中に入っているように見えるものは果たして花なのか?箱を開けたら何もないかもしれない。あるいはこちらを襲ってくる魔物かもしれないし、優しく心を癒してくれる花なのかもしれない。それは現代の不安定な世界を象徴しているようだ。普段、自分は物事の本質をしっかり見ているのだろうか?見る側の想像力が問われているようでもある。

遠山 正道
(株式会社スマイルズ 代表 / 株式会社 The Chain Museum 代表取締役)

ここ数年週末は北軽井沢の寂れた深い静寂の自然の中に籠り、音楽もつけずランプでひっそりと過ごしていると、いきおいデジタルデトックスにもなる。 そんななか、及川春菜の作品を観ると、自然や草花やデジタルや現実やら、それらが混じった上で優しくリアルに馴染んで映った。8ビットが優しさに見えてきた。 及川が当初吊るそうとしたモザイク状の大きなガラスを、北軽の自然の前に吊るしてもらって、眺めてみたくなった。

坂本 浩章
(公益財団法人彫刻の森芸術文化財団 東京事業部 部長)

モザイクガラス越しに華やかな造花が映し出されており、作者の及川さんも意図している通り、テクノロジーを使用した表現ではなくて、アナログの技術で多彩な見え方を実現している。様々な角度と時間によって表情を変え、また、周囲の景観をも取り込み、正面性のない作品はまさに彫刻的な要素だ。人の視覚における錯覚効果を呼び起こして、脳や感覚に心地良い刺激を与えられる作品であり、鑑賞者は身体を使って自分だけの視点を見つけ出して欲しい。

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