Brillia Art
Brillia Art Award

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No.23 
Brillia Art Award Cube 2024作品・アーティスト紹介

TITLE:
神 馬
CONCEPT:
現世と常世、二つの世界を行き来するための器として折り紙(形代)に着目しました。
伝承折り紙として継承、洗練された形は過不足のない完璧さを感じさせます。
何かを超越した存在感を放つそれを、木彫で制作することにより迫力や重さ、物質感を伴い、まるで別の世界から来た使者のような偶像化を試みています。
自身よりも大きい存在、それに見下ろされる異様さ、神秘さ、近寄り難さを東京の街を歩く人々と共有したいと思いました。

ARTIST PROFILE

白谷 琢磨 / TAKUMA SHIRATANI
<略歴>
1994年
佐賀県生まれ
2019年
東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
2021年
同大学院美術研究科彫刻専攻修了
木彫、乾漆などを使い彫刻的な表現を試みる。
紙を折ることと木を彫ることはどちらも祈りに通じる行為であるとし、折り紙をモチーフにした木彫彩色作品を制作。
<受賞歴>
20199年
AAC2019最優秀賞受賞
<活動歴>
2022年
機械仕掛けのコウノトリ/gallery fu(横浜)
2022年
三日月 -MIKAZUKI- 讃岐国分寺 大日如来制作プロジェクトで出会った作家たち /AMMON TOKYO(神保町)
2023年
讃岐國分寺 完全版大日如来坐像完成記念展 大森暁生と工房スタッフの仕事展/そごう横浜店美術画廊(横浜)
2023年
大森暁生と工房スタッフの仕事展/西武池袋本店美術画廊(池袋)
2023年
gift from.....to…../gallery fu(横浜)
2023年
KONSHIN-TEN/gallery UG(馬喰町)
2024年
彫刻家 白谷琢磨×写真家 森田直樹展/ORIE ART GALLERY(東京)
2024年
YICCA 23/24 International Contest of Contemporary Art (イタリア)
他多数

ARTIST VOICE

Q:応募のきっかけは?
立体作品が応募可能な都内のコンペを中心に探していたところ、HPで知りました。

Q:どうやって企画を考えたのですか?
もともと作っていたシリーズの大型作品を制作したいという気持ちがあり、資金や時間の面で先延ばしにしていたところ、制作補助金があれば可能なのではと応募しました。

Q:作品に込めた想いを教えてください。
折り紙をモチーフにした作品は、どこか別の世界を予感させるような存在感を意識しています。神仏のような堂々とした佇まいに救われるような気持ちで制作しています。

Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
大型作品は構想はしていても実現するためには様々な課題がありました。制作の機会に恵まれたことは大変嬉しく、一歩が踏み出せたことは自身の中でもとても大きなことでした。
実際に完成させてみるとその迫力と存在感に制作する意義を見出すことができました。今後、多少無理をしても大型作品の制作を継続していきたいです。

EVALUATION

小山 登美夫
(小山登美夫ギャラリー株式会社 代表取締役/日本現代美術商協会副代表理事)

漆で覆われた大きな折り紙の馬の立体は、塊の彫刻とは違い軽やかで今にも動き出しそうな彫刻作品になってます。木でこの形を作り出す作業は大変だったろうなと思います。でも、その労苦は吹っ飛ぶくらい、空間にスッキリと存在していて、素敵なものになっています。幸運を運んできそうです。

橋本 和幸
(東京藝術大学 美術学部デザイン科 教授 兼 芸術未来研究場 瀬戸内海分校プロジェクトリーダー)

折り紙の造形を木彫と漆で表現を試みたインパクトのある作品です。大きな無垢材を寄せて彫刻してあり、実際近くで見るとノミ跡から作者の息遣いも感じられ繊細な仕事と大胆な造形がほどよい存在感を醸し出していました。大きな空間にも負けない迫力と繊細があるので今後の作品展開も楽しみです。

遠山 正道
(株式会社スマイルズ 代表/株式会社 The Chain Museum 代表取締役)

"馬"だと分かっているのに"鶴"とつい言ってしまう程に我々に折り紙という記号は染み付いている。そこに非常に丁寧で上質な木彫と乾漆という技巧をじっくりと時間をかけて実態化させたこの構築的な作品は工芸を超えて現代アートの世界から我々日常の空間に降りたつ。アート、デザイン、日常、伝統、技術、日々の営み、それらを簡単に包含してしまう軽やかな強さを持っている。

坂本 浩章
(公益財団法人彫刻の森芸術文化財団 東京事業部 部長)

折り紙で作られた馬の造形は、板材を重ね合わせた作りではなく、丁寧に彫られた木彫である事に気づくと、作者の手仕事が伺えて造形に対する想いが伝わってきました。また、表面に施された着彩も単色ではないことで、表情が豊かであり今にも動き出しそうな印象を受けました。昨年は様々な災いが重なり、心穏やかではない年の始まりでしたので、この作品を目の当たりにした際に、新たな気持ちで前に進む力強さを感じました。

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