漆で覆われた大きな折り紙の馬の立体は、塊の彫刻とは違い軽やかで今にも動き出しそうな彫刻作品になってます。木でこの形を作り出す作業は大変だったろうなと思います。でも、その労苦は吹っ飛ぶくらい、空間にスッキリと存在していて、素敵なものになっています。幸運を運んできそうです。
折り紙の造形を木彫と漆で表現を試みたインパクトのある作品です。大きな無垢材を寄せて彫刻してあり、実際近くで見るとノミ跡から作者の息遣いも感じられ繊細な仕事と大胆な造形がほどよい存在感を醸し出していました。大きな空間にも負けない迫力と繊細があるので今後の作品展開も楽しみです。
"馬"だと分かっているのに"鶴"とつい言ってしまう程に我々に折り紙という記号は染み付いている。そこに非常に丁寧で上質な木彫と乾漆という技巧をじっくりと時間をかけて実態化させたこの構築的な作品は工芸を超えて現代アートの世界から我々日常の空間に降りたつ。アート、デザイン、日常、伝統、技術、日々の営み、それらを簡単に包含してしまう軽やかな強さを持っている。
折り紙で作られた馬の造形は、板材を重ね合わせた作りではなく、丁寧に彫られた木彫である事に気づくと、作者の手仕事が伺えて造形に対する想いが伝わってきました。また、表面に施された着彩も単色ではないことで、表情が豊かであり今にも動き出しそうな印象を受けました。昨年は様々な災いが重なり、心穏やかではない年の始まりでしたので、この作品を目の当たりにした際に、新たな気持ちで前に進む力強さを感じました。