ARTIST VOICE
Q:応募のきっかけは?
これまで音の少ない自然の中で聞こえてきた音や、記憶・思い出をもとに聞こえてきた音を元にした作品を発表していたので、今年はあえて音で溢れかえる都市の中で聞こえてきた音を一年かけて作品にしたいと考えていました。
展示場所の東京建物八重洲ビルは東京駅の近くにあり、自分が今まさにやりたいと思っていたことと、繋がったのがきっかけです。
Q:どうやって企画を考えたのですか?
歩いて聞こえてくる音、電車の音が具体的にどういったイメージなのか、どういった形なのか、納得がいくまでじっくり考えたかったので、実際に山手線の線路に沿って何周か歩き、考えました。
Q:作品に込めた想いを教えてください。
歩いていると、古い建物が新しい建物に変わっていくのをしばしば見かけました。また冬から春ということもあり、人々の話している会話が前向きなものであることに興味をもちました。
私の周りでも、青年期に影響を受けた馴染み深い建物がなくなったり、友人が結婚したり子供ができたりとそれぞれが変化しています。
そういった大きな変化が進んでいく中で、変わらずそこにある何気ない日常の会話や、人々が自分達の進路について前向きな会話をしている様子に興味を持ち、形にしたいと思いました。
Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
1月の終わり頃から4月まで時間をかけて、リサーチと制作をしたので感慨深いものがあります。山手線は駅ごとに街の様相、人々の会話などがガラッと変わり魅力的でした。それでもそれぞれの街の中での何気ない会話というのがありました。そういった言葉や音が折り混ざって、ショーウィンドウの中でひしめき合うような作品を形作る作品として制作しました。作品を通じて春を待つ人々の声を感じていただければと思います。