Brillia Art
Brillia Art Award

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No.01 
Brillia Art Award Wall 2024作品・アーティスト紹介

TITLE:
富士只眺メル乃図
2024年 / 木製パネルにアルシュ紙水貼り、アクリル

CONCEPT

クスッ(笑)』となる作品、これが私の土台。
ちょっと可笑しく、ちょっと可愛く、ちょっと間抜けだったりすること。
その土台を丁寧に美しく描くことで妙な魅力が増し『クスッ(笑)』が引き立つ。笑うことは楽しく、元気になり、頑張る気力を与えてくれる。なので、絵を観てくれる人や自分自身も『クスッ(笑)』となるように、私は描く。

ARTIST PROFILE

加藤 正臣 / MASAOMI KATO

<略歴>

2005年東京芸術大学デザイン科入学
2009年東京芸術大学デザイン科卒業
最近の絵のテーマは『可笑しなことを丁寧に美しく描くこと』である。
可笑しなことを真面目に描くことで妙な空気が出来上がり妙な作品になるのである。

<受賞歴>

2006年
TURNER ACRYL AWARD 2005 学生の部大賞
2011年
第2回TERRADA ART AWARD 2015 入選
2016年
CREATIVE HACK AWARD 2016 グラフィック部門賞
2019年
第6回東京装画賞 入選
2022年
装画を描くコンペティション vol.21 審査員賞
2022年
第14回アダチUKIYOE大賞 優秀賞

2023年

2023美の起源展 奨励賞

<活動歴>

2012年
「Young Art Taipei 2012」 アートフェア 台北/台湾
2014年
「幕開け」加藤正臣個展 MDP GALLERY 中目黒/東京
2015年
「美の予感2015」グループ展 高島屋 巡回/各都市
2017年
「DENTOU TO GENDAI展」個展 FineArts Masaru Makii 浅草橋/東京
2018年
「ASYAAF 2018」アートフェア ソウル/韓国
2019年
「山梨日日新聞5万号記念」30段広告の絵制作
2020年
新潮社 石井遊佳著『象牛』カバー装画・表紙・本トビラ制作
2022年
「ART MART」グループ展 MARUEIDO JAPAN 赤坂/東京

2022年

「FM802/FM COCOLO DIGMEOUT ART CALENDAR 2023」 ビジュアル制作

ARTIST VOICE

Q:応募のきっかけは?
公募サイトはたまに見ていて、自分の作品に合っていそうなコンペに応募しています。今回のBrillia Art Award Wall 応募要項は作品サイズ、展示空間、提出期限などが合っていたので応募しました。マンション購入のお客様が自分の作品に触れる機会があり、チャンスが増えるのも良いと思いました。

Q:この作品を作ろうと思ったきっかけは?
2012年頃、富士山と女子高生の組み合わせの絵を多く描いていました。その時期に上野の東京国立博物館で横山大観『雲中富士』を観た時、この作品の構図が浮かびました。『雲海に聳える富士山と寝そべり眺める女子高生の図』は面白いと思い、すぐに制作に取りかかりました。現在でも、この作品シリーズを描いており、2024年1月に完成した作品を今回応募しました。

Q:作品に込めた想いを教えてください。
コンセプトにもなっていますが『クスッ(笑)』となる作品です。
もう1つ言えるとしたら、予備校と大学を合わせて私は10年間デザインを学びました。表面内面のデザイン、コンセプト、伝達方法、魅せ方など。一応、日本最難関の東京芸術大学デザイン科で学び、私には「デザインの分脈」があるはずです、、、(汗)
その中で学んだことの1つに『対比』がありました。分かりやすく言うと「スイカに塩」。甘味に塩味をまぶすと甘さが増して美味しくなる、です。色相対比、上と下、大と小、粗と密、雑と丁寧、古いと新しいなどなど。今回の応募作品では「伝統的風景の富士山」と「現代っ子の女子高生」とか「ふわっとした雲海」と「描写してある床面」とか「大きな空間にポツンとあるモチーフ」とかです。『対比構成』を入れて丁寧に美しく描くことで妙な魅力が増す。そのような考えを込めて最終的には『クスッ(笑)』となるような作品を制作をしています。

EVALUATION

ハービー・山口
(写真家)

作者の加藤さんの根底にはユーモアがあって緊張感を強いらないところが好きだ。
この絵を見て私が感じたのは、「富士山と雲海、縁側など、日本が持っている風土や文化を次世代の担い手である高校生がどう受け止めて、どう世界に羽ばたいて行くるだろうか」というストーリーでした。
日本人の人格は一朝一夕に形成されたのでなく、悠久の年月を経て日本の風土、文化を吸収し、心に刻んで育ってきたのです。素晴らしき日本の若者よ、私たちと一緒に世界を平和に導く一人になろうではないか。

曽谷 朝絵
(美術家)

縁側に寝そべって雲海を眺める女子高生。そしてそれを眺める私達、という「絵の中に絵がある」みたいな二重構造を持っているこの作品。もしかして鑑賞者である私達も誰かに観察されていて、その人もまた誰かに、、と入れ子状に世界は続いているのかもしれない。。などと、色々と想像してしまうのは、この絵の完成度の高さ故だろう。一見相反する各要素が絶妙にデザインされ、丁寧に描写され、互いに緊密に調和し、私達に隙のない白昼夢を見せてくれる。
特に黄色と白を基調とした全体を、富士山と髪の毛の黒がピリッと引き締めているのはカッコ良い。レモン色の空は、日本画によく使われる金箔とはまた違う軽みを絵に与えている。富士山よりも高いところに設定された視点も、浮遊感の理由だろうか。絵の中の雲海に、飛び込んでみたくなる。

齋藤 由里子
(公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団)

寝そべる女子高生の眼前には横山大観「雲中富士」のような光景。くつろぐ場所は天界か、あるいは超高層マンションか。彼女の想いは計り知れぬが、その想いの先は決して辛くないと想起させる色使いと雄大さが、観る側の気持ちを軽やかにする。描くことと真摯に向き合ってきた事が伺える構図や筆使いの中に、制作のテーマとしている「クスッ(笑)」が潜んでいる。日々の生活も「クスッ(笑)」があるから真摯に生きる事ができるのかもしれない、と作品を前に口元が緩むのを感じた。

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